国交省リコールホットライン
国土交通省のウェブサイトには、自動車不具合情報ホットラインというページがあります。
http://www.mlit.go.jp/jidosha/carinf/rcl/hotline.html
「リコール制度」は、メーカーがみずから届出をおこない、自ら修理を実行するというものであり、監督官庁である国土交通省が命令するとか、ましてユーザーの求めに応じて、調査や対応がおこなわれるというものではありません。このページでは、ユーザーからの不具合の申告も受け付けているのですが、ただちに国交省からメーカーに照会がおこなわれるわけではなさそうです。国土交通省の姿勢は、とうていユーザー本位というものではありません。せいぜい、自動車産業の健全な発展に資するという程度のものです。
自動車メーカーが国土交通省に届け出た上で修理をおこなった「リコール」は膨大です。ニュースになるのはごくごく一部で、リコールなんてそんなめったにあるものではないような気がしていますが、とんでもありません。たとえば、BMWあるいはBMWのミニを検索条件に入れると何百件も出てくるのでビックリしてしまいます。けっこう深刻な内容もありますが、コストダウン優先の粗悪部品の使用、おなじくコストダウン優先の設計と製造工程の構築などが必然的に生み出しているわけで、消費者に製品テストをやらせて、隠しきれなくなるとリコールにまわしているのです。まったく悪びれもしないわけで、リコールは恥でもなんでもなく、むしろ誠実に対応した証拠とでもいわんばかりです。こんなことなら、どうしてわが三菱自動車はリコール隠しなどという馬鹿げたことをしたのか、理解に苦しみます。BMWを見習って山のように届けておけば、義務は果たしたうえ、製品事故も未然に防げたわけで、あげくに会社を存続の危機におとしいれることもなかったのです。
未完成状態の製品を世に出した上で、あとからゆっくり改善するという産業構造?をもっとも極端に採用しているのがソフトウェア産業です。ベータ版と称する試作品をユーザーに、タダで配り、そこからのフィードバックをとりいれて製品版の販売に移るのですが、製品版もめまぐるしく無料でバージョンアップがおこなわれます(たいしたことのないメジャーバージョンアップのたびに大金をせしめる図々しいメーカーもありますが)。家電製品でも同様で、毎年の新製品もユーザーからのフィードバックによる欠陥つぶしが主要な目的だったりするのです。
そういう意味では、「リコール制度」にあまり多くを期待すべきではありません。とはいえ、こんな制度はないほうがよいというわけではありません。BMWがやっているのは、国土交通省に届け出たアライメント値と異なる製品を大量に製造販売するという、故意による違法行為であり、その意味でフォルクスワーゲンのディーゼルエンジンの排ガス規制逃れと同様の相当に悪質な違法行為です。過失犯などではなく、筋金入りの無法者であるドイツ企業による明白な故意による確信犯なのですから、民事訴訟、PL法にもとづく対応、消費者保護行政への申告、刑事告訴、などなどあらゆる手段でその違法行為と不法行為を社会的に摘示しなければならないのです。
というしだいで、本日、国土交通省の「リコールホットライン」に申告いたしました。
氏名はもちろん、車両の車検証情報などを全て申告した上で、下記のとおり概要を記しました。(添付資料は省略しますが、別ページの調停の際の資料をご覧ください。)
「納車」直後からの現象で、中速・高速で直進安定性が顕著に欠如し、常に進路がふらふらするので、ステアリングをがっちりと握ったうえで、常時進路を修正しなければならない。低速・中速・高速ともに、ステアリングの戻りが悪く、戻す動作をしないと中立位置まで戻らない。さらに、レーンチェンジすると後輪が転舵外側に膨らむ(いわゆる「尻を振る」状態)。
このため、販売店(モトーレングランツの「ミニ柏」)にホイールアライメントテスタでの測定と修正を求めたところ、資料1のとおり、トー、キャンバの不整がわかった。資料2の通り、測定した業者によってトー、キャンバは修正され。これにより、レーンチェンジすると後輪が外側に膨らむ(いわゆる「尻を振る」状態)は、おおむね改善された。
しかし、直進安定性の欠如はほとんど改善されなかった。このため、販売店にキャスタの規定値を照会したところ、輸入元の株式会社ビー・エム・ダブリューの資料(ウェブデータの画面コピー)を示されたが、資料3のとおりそこではキャスタの値は空欄であった。
そのため輸入元の株式会社ビー・エム・ダブリューに書面で照会したところ、キャスタは4度20分との口頭回答があった。これは、資料4の通り、エンジンの異なる同型車(DBA-XS15)と同値であり、真実であると思われる。
しかして、キャスタ角について国土交通省届出値と実車の値(トー、キャンバの修正前は資料1、修正後は資料2)を比較すると、おおきく隔絶している。これは直進安定性悪化の主要な原因であると推定できる。(ほかの原因の存在もうたがわれるが、自動車工学の一般的知見では、キャスタ角の不足は直進安定性の悪化の最大かつ第一の原因である。)
時間的には前後するが、キャスタ角不整の修理もしくは修理しない場合には契約解除を申し入れたのに対し、ビー・エム・ダブリューおよびモトーレングランツは、資料5のとおり、キャスタ角の顕著な変異についてはこれを隠蔽した上で、「基準値内」と強弁している。その後現在にいたるまで、両社は国土交通省届出に背馳している車両の欠陥についてこれを放置し、いっさいの対応を拒絶している。
なお、キャスタ角の調整は、可能である車と可能でない車がある。本車両は、後者であるといわれている。なお、これは「経年劣化」でないのはもちろん、いわゆる「個体差」とは到底考えられない。同型車やグレードの若干異なる車両でも同様の直進性欠如が顕著であった。となると、BMWは、国土交通省届出値と異なる車両を製造販売していることになる。これはあきらかな違法行為である。