ナチスとBMW
BMWには、他のメーカーであれば到底考えられないような、異常な高慢さがあります。車両の基本情報であるアライメント値を1か月近くも秘密にしていたこと、あきらかな品質上の問題点の存在を隠蔽し、たびかさなる指摘に対して一貫して、無視・否認の姿勢をとりつづけること、品質保証責任の放棄を明言するディーラー(モトーレングランツ)の行為を是認すること、なにより、国土交通省届出値に違反する車両を数年にわたって製造販売していること、などなど。
たんに「いい加減」とか「利益本位」とかいうレベルの話ではありません。高慢で冷酷、他人の苦痛など一切意に介さぬ非人間的態度、機械的というか官僚的というべきか、なんとはなしに想起したのは、あのアイヒマンでした。ナチスドイツの官僚の一員(親衛隊=SSの中佐)でユダヤ人虐殺の戦争犯罪人だった人物です。そのような人物はもちろん多数いるのですが、彼はナチスドイツ解体後、ひそかにドイツを脱出し、アルゼンチンで偽名を使って生活していたところ、1960年にイスラエルのモサドによって拉致されイスラエルで裁判にかけられ、処刑された人物です。ハンナ・アーレントの『イェルサレムのアイヒマン』によって、今日よく知られています。ヒトラーとかゲッペルスのような中心的人物というのではなく、さりとて市井の一国民というのでもなく、国家の官僚組織の一員として率先して犯罪行為を働いた人物です。このたびのBMWの対応をみていて自然に想起したのです。フォルクスワーゲンの車を2台、ほぼ20年にわたって乗ってきたのですが、その時にはそのようなことは微塵もありませんでした。ですから、たんにドイツ企業だからというような一般的な話ではないのです。
あるいは、映画「ダイ・ハード」の一作目。ブルース・ウィリスがたまたま立ち寄った高層ビルに押し入った強盗団はたしかドイツ人だったでしょうか。あの冷酷な非人間的振る舞い!
アイヒマンといい、ダイ・ハードといい、BMWと結びつけるのはいくらなんでも理由がない、と言えるでしょうか? 本ウェブサイトをご覧いただいた方なら、そうはお思いにならないでしょう。庶民の財布から330万円ほどと、まだまだ走れる下取り車1台を受け取り、かわりに渡してよこしたのが、まっすぐ走らない車です。そしてそのことを指摘したユーザーに対する、常軌を逸した対応はなんとしたことでしょうか。いささか品質に問題ありとされたフランスやイタリアの車ですが、それでもそれらの輸入業者やディーラーは、ユーザーからの要望があればそれなりに対応し続け、故障や不具合があれば、まさか逃亡をはかることもなく、対応をつづけたのですが、このたびのBMWはまったく違うのです。そこに異様な非人間性を感じ取り、なにやらナチズムの臭いを感じたのですが、じつはそれは勘違いでもコジツケでもなく、まさに正鵠を得ていたのです。ナチス時代のBMWの原罪は周知の事実だったのです。
(以下近日中)